「家賃と同じ支払いでマイホームが持てる」
あちこちで使い古された売り文句ですが、これを聞いてあなたはどう思うでしょうか。
もしあなたが
などと考えてしまったとするならば、とても危険だと言えるでしょう。
私も一時騙されて(?)いたことがあり、あまり大きなことを言えないのですが、「家賃と同じくらいの支払い額で自分の家」というのは、あなたの気を引くためだけの売り文句です。
嘘ではないが本当でもない「家を売りたい側のセールスワード」でしかありません。
こんにちは、管理人のくたです。
今回は「家賃と同程度の支払いのマイホームを実現したらどうなるか」です。
家賃の支払いと同じという言葉のカラクリ
先ほどの「同じ支払い額で~」の事ですが、実を言うと販売業者側は嘘は言っていません。
やり方としてはグレーですが、必要な情報をあえて出さないことによりあなたに勘違いをさせる手法です。
この売り文句はあくまで
月々の家賃の支払い=月々のローン返済額
という毎月固定で支払わなくてはならない額をイコールに出来ることを示したに過ぎません。
本当は「ローン返済」以外の支払いが発生するので、実際にはもっとお金が必要なのですが、そこを言ってしまうとお客を呼び込めなくなるので、あえてその部分を伏せています。
もし住宅に興味があるのであればこれをまず知っておいて下さい。
「家賃と同じ額の住宅ローン返済」
は一年間で考えると住宅に関する費用は家賃を支払うより高くなります。
住宅を所有した場合、「住宅ローン返済以外にも支払うものが存在する」のです。
住宅購入時には何にお金が掛かるのか
住宅を購入しようとするとどのようなことで費用が掛かってくるのか。
純粋な「住宅の購入価格」以外に掛かってくるお金がいくつも存在します。
内容としてはおよそ以下のものとなります。
- (不動産業者の)仲介手数料
- 印紙代(税金)
- 保存・表示登記費用
- ローンに関する費用(保証料・印紙代・手数料)
- 火災保険等
それら全てを完全に把握しようとすると、それなりに勉強が必要になるかもしれませんがその必要はありません。
この辺は住宅を購入しようとすると銀行や司法書士といったその道のスペシャリスト達が対応してくれます。
何も知らないのはさすがにまずいですが、ある程度理解していれば必要以上に突っ込んで知る必要もありません。
頭金:住宅購入時にどのくらいの現金がいる?
かなりざっくりとした金額ではありますが、購入金額に対して10%程度は掛かると思っていればそれほど間違いはありません。
また、それ以外にも「引っ越し」をするお金や「新居で利用する家財等」の購入も必要となってきますので、実際には+αの余裕が必要です。
純粋に家賃とローン返済のみの比較であれば、同じ金額かもしれません。
しかし、実際に家を買おうとするとそれ以上にお金が掛かってきます。
仮に家賃とローン返済額が同額程度であった場合でも、住宅購入までの諸費用や新居に住むための準備費用で何百万円かは「頭金」として現金を用意しておかなければなりません。
中には頭金なしでも住宅購入ができると宣伝している業者もありますが、それは手数料などの費用も住宅ローンとして借りるということです。
家賃と住宅ローン返済を同額程度にすることを考えるのであれば、手数料やその他費用を上乗せして借り入れをするのは論外でしょう。
住宅取得後も住宅ローン返済以外にお金が掛かる
住宅を買うときには様々なお金が掛かるというのは先ほどの話のとおりです。
では住宅購入後、2年目からは従来の賃料とローン返済額が同じであれば負担額は同じになるでしょうか。
残念ですがその2つの金額が同額では負担は同じになりません。
実はローン以外にも毎年支払わなくてはならないものがあります。
それが固定資産税と保険(火災保険・地震保険など)です。
住宅は持っているだけで税金が掛かります。
それが固定資産税です。
また、住宅ローンを組む際には保険に加入することになります。
建物に何かあった場合の保険です。
この2つが毎年払ってくださいと通知が来ることとなります。
そのため「住宅ローン返済額=従来の賃料」であった場合、実際には住宅の方が年間支払う金額は多くなるのです。
家は購入後は税金以外にもお金が掛かる
ここで示しているお金とは先ほどまで話していたローン返済や保険・税金の事ではありません。それ以外に掛かるお金の事です。
家を購入すると、あたりまえの話ですが家はあなたのものです。
賃貸の時のように大家さんや管理会社なんて人たちは存在しません。
建物の維持管理も自分自身で行わなくてはなりません。
建物が古くなれば修繕が必要となってきます。
水道等の設備が痛んでくればそれも交換が必要です。
そういった時に備えてローン返済とは別口にお金を確保しておくことが必須となりますが、住宅購入時にそれを教えてくれる業者は多くはないでしょう。
家を買う際に不動産業者や銀行等、何人もの人と会うこととなりますが、購入後については恐らく触れてこない思います。
業者からするとこれを説明して購入を見送られても困るわけです。
おまけ:住宅購入前に自分でシミュレーションをしてみよう
こちらは住宅保証機構(株)が運営している住宅ローン等をシミュレーションをしてくれるサイトです。
こちらのサイトで借入可能額の試算をしてましょう。
仮にこのような条件でローンの試算をしてみます。
- 金利1%(元利均等返済)
- 35年
- 月々の支払い額10万円
今までの家賃支払い額が10万円だったとして、それを支払額と同じ10万円のローン返済額だっととすると35,420,000円の借り入れという試算がなされます。
もうおわかりだと思いますが、約3,500万円の試算が出たからといってその数字通りの家が買えるかと言うと答えはノーです。
実際には様々な諸費用が掛かってきますので、そこを考慮して自分の買うことができる価格を判断しなくてはなりません。
まとめ:住宅購入を検討するならローンの返済額以外のお金を把握しましょう
住宅を購入すると、ローン返済以外の様々な出費が発生します。
それらを考慮すると家賃とローン返済額を同額と仮定すると、家を所有する方が年間の支出が多くなります。
家を買うとなると、その家の販売価格を価格通りに支払えば終わりではありません。
先ほど述べたような仲介をしてくれる不動産業者の手数料や、物件の登記費用など様々なお金が掛ります。
誰もただでは動いてはくれません。
あなたが家を手にいれるためには、様々な人の働きが必要なのです。
また、家を所有すると税金も掛かってきます。
賃貸ではかかりませんでしたが、それは建物を所有している大家さんが払っているからです。
住宅購入時にも様々なお金を支払うこととなりますが、購入後は毎年「固定資産税を払って下さい」と納付書が郵送されてきますし、「将来の修繕」に備えてお金を蓄えておかなければ
嘘ではないが本当でもないという意味が伝わりましたでしょうか。
ローンの返済だけなら確かに家賃と同額というのは可能です。
言葉遊びのようですが、「嘘ではないが本当でもない」というのはそういうことです。
人によっては「詐欺だ!」と激昂するかもしれません。
しかし、この言葉を売り文句にしている販売業者は恐らく細かい事は教えてはくれません。
不親切なようですが、住宅という高額商品を購入するのであれば、ある程度は自身で勉強すべき内容でもあります。
それを怠って、相手のせいにするのは少し違います。
不勉強のために相手の都合がいいように誘導されてしまったとしたら、それは自己責任と言われてしまう範囲です。
住宅に興味を持ったのであれば、まずは住宅購入に関する本を1冊読んでみてください。
それだけでもかなり違います。